外貨購買の勘定処理

 

このトピックでは、外貨購買発注による入出庫処理における勘定処理を取り上げて説明します。

以下の説明は標準のケース (マイナス在庫が存在しない、品目元帳が有効ではない、現会計期間への転記)を前提にしております。

在庫勘定への転記 (BSX)

品目が標準原価で管理されている場合は、次の計算式に従って在庫転記 (BSX)が計算されます。

  • 転記金額=入庫数量 * 標準原価 / 価格単位 (価格に比例)

または入庫の取り消しを行う場合は、次の計算式に従って在庫転記 (BSX) が計算されます。

  • 転記金額=(在庫金額 * 入庫数量) / 評価在庫の合計 (金額に比例)

品目が移動平均原価で管理されている場合は、在庫金額と決済金額が入庫/請求仮勘定で一致します。ただし、現在の在庫状況がこれを許可するときにのみに限ります。 たとえば、評価在庫の合計を借方転記する取り消しでは、品目の合計金額も借 方転記される必要があります。

入庫/請求仮勘定への転記 (WRX)

入庫/請求仮勘定への転記は、購買発注か請求書で決定された評価アプローチによって完全に決定されます。

ある数量に対して請求書がまだ登録されていない場合は、入庫数量が購買発注 価格に対して常に評価されます。しかし、入庫時の入庫数量 に対して請求書がすでに登録されている場合は、入庫はその請求価格に対して評価されます。

外貨の購買発注では、購買発注か請求書での評価アプローチは国内通貨で存在 しません (この評価アプローチは、購買発注通貨で存在します)。 評価アプローチは、伝票通貨によって国内通貨に変換されます。この変換の換算レートは、複数の個所で決定することができます。

  • 1) 購買発注のヘッダで換算レートを固定することができます。
    この換算レートを固定すると、仕入先の基本契約の特性が与えられ、この購買発注に固定の換算レートが適用される必要があります。
    つまり、システムで最新に更新される換算レートに関係なく、この固定の換算レートが使用されます。
  • 2) 請求書の登録時に、外部的に換算レートが指定されます。

換算レート差損益 (KDM)

購買発注か請求書の換算係数によって決定された国内通貨での決済金額から、システムに保管されている国内通貨の最新の換算レートを使用した伝票通貨での決済金額差異によって換算レート差損益が発生します。 換算レート差損益の相手勘定入力は、購入価格差異で決済されます。

  • (購入価格差異 = 入庫/請求金額 - 在庫金額 - 換算レート差損益)

購入価格差異 (PRD)

決済金額による差異 (たとえば標準原価と異なる購買発注価格) が発生する場合、または換算レート差損益を転記する場合 (この場合は、移動平均原価の品 目に対しても購入価格差異を転記することができます) は、購入価格差異が在庫金額の入庫/請求仮勘定に転記されます。

在庫勘定への転記 (BSX)

在庫転記の金額を決定できるようにするために、国内通貨で品目マスタに存在 する評価方法 (標準原価、在庫の合計金額) を伝票通貨に変換する必要があります。 使用する FI 伝票タイプに割り当てられる換算レートタイプを使用した転記日付で変換が実行されるため、購買発注の換算レートは関係ありません。 換算レートタイプが FI 伝票タイプに割り当てられない場合は、換算レートタイプ M が使用されます。

品目が標準原価で管理されている場合は、次の計算式に従って在庫金額 (BSX)が転記されます。

  • 入庫数量 * 標準原価 (購買発注通貨) (価格に比例)

入庫を取り消す場合は、次の計算式に従って在庫金額 (BSX) が転記されます。

  • (在庫金額 * 入庫数量)/ 評価在庫合計 (購買発注通貨)(金額に比例)

品目が移動平均原価で管理されている場合は、最新の在庫状況が条件を満たし ていると、在庫金額と決済金額が入庫/請求仮勘定で一致します。 たとえば、評価在庫の合計を借方転記する取り消しでは、品目の合計金額も借方転記される必要があります。

入庫/請求仮勘定への転記 (WRX)

国内通貨での転記と同様です。

換算レート差損益 (KDM)

購買発注通貨では、換算レート差損益が発生する可能性はありません。

購入価格差異 (PRD)

伝票通貨の在庫金額が伝票通貨の決済金額と一致しない場合は、購入価格差異 が転記されます。