マイナス転記
英:Negative Posting
1. 定義
マイナス転記とは、SAP FIにおいて反対仕訳を行う際に、通常は借方・貸方を反転して転記する代わりに、元の借方・貸方区分を維持したまま、金額をマイナス値として転記する方式です。
2. 背景
通常の反対仕訳では、借方と貸方が反転するため、仕訳明細の件数が増加し、元仕訳との対応関係が分かりにくくなる場合があります。
このような課題に対し、仕訳の見通しを良くし、元仕訳と反対仕訳の関係を直感的に把握できるようにする目的で、マイナス転記の仕組みが提供されています。
3. 概説
マイナス転記を使用した反対仕訳では、以下の特徴があります。
- 借方・貸方区分は元仕訳と同じまま転記される
- 金額がマイナス値として記録される
- 明細上で元仕訳と反対仕訳の対応関係が分かりやすい
マイナス転記は、反対仕訳理由の設定により利用可否が制御され、反対仕訳実行時に自動的に適用されます。
4. 運用
4.1 運用主体
経理部門が主体となって利用し、IT部門がカスタマイズ設定および運用ルール整備を支援します。
4.2 主な作業
- マイナス転記可否が設定された反対仕訳理由の利用
- 反対仕訳実行時の仕訳内容確認
- 決算資料や明細確認時の仕訳照合
- 監査対応時の仕訳説明
5. 注意点
- マイナス転記は、すべての反対仕訳理由で使用できるわけではありません。
- マイナス金額表示に対応していない帳票や外部連携システムでは、想定外の表示となる可能性があります。
- 勘定残高自体は通常の反対仕訳と同じ結果となりますが、明細表示の見え方が異なる点に注意が必要です。
- 運用開始前に、監査・管理部門との合意を取ることが重要です。
6. 補足
6.1 カスタマイズ
| IMGパス | Tr-CD | 機能 | 説明 |
|---|---|---|---|
| 財務会計 → 総勘定元帳 → 取引 → 調整転記-/反対仕訳 → 定義 反対仕訳理由 | ‐ | 反対仕訳理由定義 | 反対仕訳理由ごとにマイナス転記可否を設定します |
6.2 トランザクション
| Tr-CD | 機能 | 説明 |
|---|---|---|
| FB08 | 伝票反対仕訳 | マイナス転記設定に基づき反対仕訳を実行します |
6.3 テーブル
| ID | 名称 | 説明 |
|---|---|---|
| T041C | 反対仕訳理由 | マイナス転記可否の設定情報を管理します |
| BKPF | 会計伝票ヘッダ | マイナス転記を含む反対仕訳情報を保持します |
| BSEG | 会計伝票明細 | マイナス金額の仕訳明細を管理します |
6.4 汎用モジュール
| ID | 名称 | 説明 |
|---|---|---|
| FI_DOCUMENT_REVERSE | 伝票反対仕訳 | マイナス転記を含む反対仕訳処理を実行します |
7. 関連用語
- 反対仕訳
- 反対仕訳理由
- 会計伝票
- 転記日付