標準からの変更

 

ユーザのニーズにあうようにSAP ERPシステムを調整することができます。SAP標準を変更する方法は、判断時の優先順位で並べると下記の五つがあります。

  • パーソナライゼーション 
    画面の表示やメニュー構成を変更して、アプリケーションを簡素化します。 
  • カスタマイジング
    あらかじめ用意されていたパラメータを変更し、システムの動作を調整します。
  • 拡張 
    あらかじめ用意されていた間口を利用して標準機能を拡張すること。
  • カスタマ開発
    新たにデータベーステーブルやプログラムを作成します。
  • モディフィケーション 
    標準機能のソースコードを変更します。

パーソナライゼーションは、主にアプリケーションを簡素化にするために、特定のユーザまたはユーザグループの作業要件に従ったSAP ERPシステムを調整することです。主に以下の方法があります。

  • ロールベースのユーザメニュー
  • SET/GETパラメータ
  • トランザクション/画面バリアント

ユーザメニュー

管理者は、ロール更新画面 (トランザクション PFCG) で、トランザクション、レポート、およびインターネット/イントラネットリンクで構成されるロールのメニュー構造をユーザメニューに組み込むことができます。 リンクさせる機能に対しては、任意の構造およびテキストを選択することができます。

トランザクションバリアント

トランザクションバリアントは以下の目的に使用することができます

  • 不要な機能を非表示にすることによるシステムの簡素化
  • 項目の事前定義
  • 入力属性の無効化

トランザクションバリアントは、一連の画面バリアントを参照します。 1 つの画面に対して複数の画面バリアントを登録することができます。 トランザクションバリアントは、これらの画面バリアントで構成されています。

SAPトランザクションにはさまざまなトランザクションバリアントを登録することができます。

SAP ERPシステムにおけるカスタマイジングとは、システム内部に予め用意されているパラメータを変更し、特定の業務プロセスと機能を企業特有の要件に合わせて調整するということです。 カスタマイジングは一般的なパッケージソフトウェアの導入時のパラメータ設定に相当しますので、昔からパラメータ設定とも呼ばれています。 カスタマイジングによるパラメータ設定は、カスタマイジングテーブルに格納されます。SAP ERPシステムは実行時に、カスタマイジングテーブルに格納されたパラメータ設定を分析し、それを使用して業務プロセスを管理します。

パラメータの分類

SapECCシステムにおけるパラメータや項目は、次の五つに分類することができます。

  • 組織構造用
    会社コード・販売組織・管理領域などの組織構造用のパラメータ設定はECC導入においてでは非常に重要であり、カスタマイズの最初のステップで定義と割り当て(関連付け)を行います。
    こうしたパラメータのほとんどがデータのキー項目となり、最終的にデータの集約を行う場合のセグメントになります。
  • グルーピング・コード
  • マスタのキー項目
  • マスタの情報項目
  • 機能制御

ツール

SapECCシステムで提供されるビジネス機能は、業種に特化した内容となっているため、導入後に個別企業に合わせて変更する必要性はすでに予測されており、カスタマイジングツールとなっている導入ガイド(IMG)が開発されています。 導入ガイド(IMG)は、トランザクションコードSPROを利用して、実行することができます。

クライアント依存と非依存

SapECCシステムでは、クライアント依存とクライアント非依存のカスタマイジングは区別される。クライアント非依存のカスタマイジングには、特定のビジネスユニットに依存せず、一般的な正当性を備えたカスタマイズ設定が含まれている。このような設定の例として、稼働日カレンダやプリンタ定義設定を挙げることができる。

移送

汎用的な拡張方法

業務固有の拡張方法

チェック/代入

チェックと代入は、主に業務レベルでの標準機能の拡張手段として、チェックと代入の機能を利用するとFI-SLおよび他の 業務モジュールでデータを入力する時点で、システム固有のデータチェックや代入を実行することができます。 FI-SLモジュールで会計伝票を転記する際に、この機能を利用して、システム固有のチェックや代入を実装することが多いですが、ほかの業務モジュールでも必要に応じて利用可能です。

BTE

業務取引イベント (OPEN FI) OPEN FI 拡張技術は、財務会計コンポーネントで開発されました。この拡張技術は、次の原則にもとづいています。 アプリケーション開発者は汎用モジュールで独自のインタフェースを定義する必要があります。割当テーブルが対応する (生成された) コードに読み込まれ、割り当てられたカスタマモジュールが動的に呼び出されます。 この技術は、拡張で複数の実装を任意の順序で呼び出すことができ、1 つしか実装できない拡張とは一線を画すものです。業種別および国別拡張の両方を定義することができます。 基本的に、ビジネスアドインの拡張技術および OPEN FI の背景にある概念は同じです。ただし、これらの拡張技術は以下の点で相互に異なります。

  • OPEN FI はプログラム拡張、すなわち、コードの拡張のみに使用することができます。OPEN FI の場合、ビジネスアドインで実現できるようなユーザインタフェースエレメントを拡張することはできません。
  • OPEN FI では、拡張が 3 つのレベル (SAP - パートナ - カスタマ) でのみ行われると想定されますが、ビジネスアドインでは、拡張を必要なだけソフトウェアレイヤとして作成し、実装することができます。
  • OPEN FI は、プログラム拡張に汎用モジュールを使用します。ビジネスアドインでは、ABAP オブジェクトを使用してプログラムを拡張します。

SapECCシステムでは、テーブル、プログラム、トランザクションなどユーザ独自のリポジトリオブジェクトを登録することができます。 どのカスタマ開発も通常、カスタマ名称領域で行います。つまり、カスタマが登録するオブジェクトはすべて、指定の名称領域から名称を取得します。この名称は、文字“Y”または“Z”で始める必要があります。 一方、“/“で開始および終了するユーザ独自の名域をSAPに申請することもできます。この場合、”/Firm/“のように文字数は”/“を含めて最大8文字。登録するどのオブジェクトも、名称は”Firm/EVALUATION1”のように“/Firm/“で始めることになります。

SAP開発オブジェクト(プログラム、テーブル構造)への変更をモディフィケーション と言います。SAPが提供するリポジトリを拡張するのではなく、変更することです。 以下のようなタイプのモディフィケーション があります。

  • マニュアルモディフィケーション
  • モディフィケーション アシスタントによるモディフィケーション
  • ノートアシスタントによるモディフィケーション